運動技能の発達 Motor Development
赤ちゃんの運動技能の発達="Motor Development"が今回のテーマです!
生まれたばかり:目、頭、腕の動きに制限があり、姿勢も維持することができません
生後3ヶ月:頭、目の動きが向上する。寝っ転がることを覚え始める。
生後6ヶ月:一人で座ることができる。ものに手を伸ばしたり、探究心を持って探ろうとする。
生後9ヶ月:這ったり、支えがあれば立つこともできるようになります。運動スキルが向上して、目的を達成するために行動をとることも可能になります。
生後12ヶ月:歩くことがついにできます!
このように発達は、赤ちゃん自身の経験が運動技能の向上につながっているのか?それとももともと遺伝的に決まっているものなのかについて考えていきましょう。
アーノルド・ゲゼル Arnold Gesell(1880 〜 1961)
アーノルド・ゲゼルが今回の運動技能の発達に関して、基礎となる論文を書いた偉人です。一番最初に書いた、「XX歳の時にはYYができる」のように基準となる(Norms of milestone)を書いたのが彼です。そしてそのためにビデオ技術を利用して行動観察を行った立役者でもあります。
双子の研究(Twin Study)
双子の研究は、生後46週間の双子で行った実験です。一卵性双生児の片方には日々、運動技能向上トレーニング(階段を登ったり)のトレーニングを与え、もう片方には何も特別なトレーニングをしなかった場合の運動能力の比較を行った実験です。
研究結果は、毎日行った方は、最初は全くできなかったが生後50週目で登れるようになり始め、52週目で1分間いないで登れるようになりました。
一方、訓練をしなかった方は、52週目で初めて挑戦したにも関わらずうまく登ることができたのでした。
この結果から、運動能力の発達には経験や訓練がほとんど影響しなかったということが説明できます。
同様の研究としてネイティブアメリカンやタジキスタンの地域で利用されていた堀カゴを使った比較実験です。ちなみに、堀カゴ(Cradke boards)は下の写真です。
赤ちゃんはこのカゴの中で立つようにして生活し、立つようにして睡眠も取るのです。これが立つための訓練だとすると歩行を開始する時期にどのように影響するのでしょうか?
結果:アメリカの白人の一般的歩行開始時期が12.97カ月でネイティブアメリカンの歩行開始時期の平均が14.95カ月でした。つまり、歩行訓練がむしろ逆効果になるという結論になります!?
さっきのゲゼルの研究とは食い違うのですが(発達遅れにはなっていないはず、、、)
そこで、追加検証を行い、ネイティブアメリカンの中でも堀カゴを使用していない人たちの歩行開始時期は、15.05カ月でネイティブアメリカンで実は堀カゴの影響はほぼないのです。(ネイティブアメリカンは歴史的な産着で冷たさから体を守る服により遅くなってしまっているらしいです)
ベタベタ・手袋の実験 (Sticky Mittens)
ベタベタ手袋で遊ぶことがどのように赤ちゃんの発達に影響するのか実験です。
比較実験で、対象は2-3カ月の赤ちゃんです。
(A):触るともオモチャがくっつく手袋でオモチャを目の前において遊ばせる。
(B):赤ちゃんが普通の手袋付けて目の前でお母さんがオモチャを動かしている様子を見ている。
この二つの比較実験です。そして、2週間に渡り、どのくらいオモチャをつかんだり手を上そうとする時間に赤ちゃんが時間を使うのか比較しました。
すると、ベタベタ手袋で積極的にオモチャをつかもうとした赤ちゃんの方がただ見ている受け身の赤ちゃんよりも2.5倍も物をつかんだり、手を伸ばそうとすることに時間を使うということがわかりました。
結論としては、赤ちゃんにとって、自分から探って、好奇心のままに積極的に行動できる環境こそが学習にとって最も最適であるということです。
- 赤ちゃんのものへの探究心が向上
- より、肌触りなどの感覚に対しして敏感になった。
- ものを取ろうとする技能が一般的な赤ちゃんよりも発達した。